ウェーブフォールディング
天井に当たった波形を削り落とさず、折り返して下へ戻す歪み。
クリッピングが頂点を平らに潰すのに対し、ウェーブフォルダーはそれを鏡のように折り返す。しきい値を超えた部分は下向きに反射され、ゲインを上げればもう一度、さらにもう一度と折れ曲がる。サイン波は折り目の増え続ける波形になり、倍音はクリップ音のざらつきよりガラスのように澄んだ響きで増えていく。技術的には、ジグザグの伝達曲線を持つウェーブシェイピングの特殊な場合にあたる。
ドン・ブックラは1970年代、これを「ウェストコースト」シンセシスの中心に据えた。単純な波形に倍音を足していく方法で、イーストコーストの減算方式のようにフィルターで削る発想とは逆だ。近年はユーロラックで復活している。デジタルでは厄介で、折り目が生む倍音はナイキスト周波数をはるかに超え、オーバーサンプリングがなければエイリアシングとして下へ折り返してくる。つまり、二重に折り返されるわけだ。