ノークリップ
プレイヤーの衝突判定を切るモード。カメラは壁も床も通り抜け、レベルの外の虚空まで滑っていく。
「クリッピング」とは、物が面を突き抜けないようにすることを指すゲームプログラマーの俗語である。1993年の『Doom』には壁抜け用のチートIDSPISPOPDが入っていたが、『Doom II』でつづりやすいIDCLIPに改名され、Quakeのコンソールでは単にnoclipというコマンドだった。この名前は業界全体に定着した。
開発者にとっては仕事道具である。バグのある場所へ、遊んでたどり着く代わりに飛んで行ける。セットの裏側が見えていないかも確かめられる。プレイヤーはこれで、見せるはずのなかったもの、つまり未完成の部屋、片面しかないテクスチャ、実は箱だった空などを探す。インターネットの怪談にある、noclipで現実の外のバックルームへ抜け出すという話も同じ発想で、照明がやや悪いだけである。