_NET_WM_ICON
アプリケーションが、任意サイズのARGB画像を一枚以上置いておくプロパティ。WM_HINTSの白黒ビットマップでは足りなくなって生まれた。
ICCCMが WM_HINTS に用意したアイコン欄は1980年代の子供だった。icon_pixmap はサーバメモリ上のピクセルマップ(たいていは白黒のXBM)を指し、形を切り抜く icon_mask は別のピクセルマップだった。特定のスクリーンと色深度に縛られ、アルファチャンネルがなく、サイズは一つきりである。2000年頃、タスクバーも Alt+Tab の一覧もタイトルバーも、それぞれ自分のサイズのアイコンを求めるようになり、これでは足りなくなった。EWMHは画像全体を _NET_WM_ICON プロパティに入れた。CARDINAL の配列で、各画像は幅と高さで始まり、続いて幅×高さ個の32ビットARGB画素が並ぶ。複数の画像を連ねられるので、読み手は最適なものを選べる。
データがサーバのプロパティ領域に載るため、ウィンドウごとにメモリを食う。512ピクセルのアイコンを5サイズ置くプログラムは、起動のたびに1MBを送る。この形式は悪名高い64ビット問題も生んだ。Xlib はフォーマット32を long の配列として扱うので、64ビット機ではクライアント側で画素ごとに8バイトを使う。uint32_t で詰めた人は、上半分が化けて下半分がゴミの画像を手にした。現代のデスクトップは、WM_CLASS で引いたアプリのdesktopファイルのアイコンを優先し、_NET_WM_ICON は予備に回す。xprop は今でもこれをASCIIアートで表示するが、毎回それなりに意表を突かれる。