アナログ機器には基準動作レベルがあり、その上に20dB以上の余裕があって初めて歪みが耳に付く。デジタルには硬い天井がある。0 dBFSを超える値は存在せず、頭が潰れるだけだ。だから余裕を残して録音する。EBU R 68は0 dBuを−18 dBFSに合わせることで両者の世界をつないでいる。
「できるだけ熱く録れ」という助言は16ビット時代のもので、ヘッドルームを1dB取るごとにノイズフロアが上がったからだ。24ビットのビット深度なら理論上140dB超のレンジがあり、ヘッドルームはほぼ無料である。その余裕はマスタリングで使い切られる。ラウドネス戦争とはおおよそそういう話だった。