フォルマント
喉と口が作る声のスペクトル上の共鳴ピーク。音程が変わっても「あ」が「あ」に聞こえる理由である。
声帯は倍音に富んだ音を出し、声道がある周波数帯を強め、別の帯域を弱める。強められた帯域がフォルマントで、最も低い2つ、F1とF2があれば母音の区別はおおむねつく。1960年、スウェーデンの音声学者グンナー・ファント(KTH)が『Acoustic Theory of Speech Production』で音源・フィルターモデルを体系化し、これは今も音声合成や音声分析の土台である。
オーディオエンジニアがフォルマントを意識するのは、たいていそれが動いてしまった時だ。声を単に速く再生して完全5度上げると、フォルマントも一緒に上がり、歌い手がシマリスのようになる。そのため現代のピッチ編集ツールは、フォルマントを固定したまま音程だけを動かすか、フォルマントを独立に動かして、それ自体をエフェクトとして使う。