ドナルド・ビーバー
1991年の「ビーバー・トリプル」で、マルチパーティ計算における秘密値の乗算の定番技法を生んだアメリカの暗号研究者だ。
秘密マルチパーティ計算では、複数の参加者が互いの入力を明かさずに結果を求める。秘密分散された値の加算は通信なしで済むが、乗算には通信が要る。1991年のCryptoでビーバーは、c = a·b を満たす乱数の三つ組 (a, b, c) を、実際の入力が存在する前に用意できることを示した。乗算のたびに三つ組を一つ消費すれば、軽い演算だけで済む。
重い前処理と高速なオンライン段階を分けるこの発想は、SPDZなど現代のプロトコルの土台だ。1990年にはシルビオ・ミカリ、フィリップ・ロガウェイとともに、アンドリュー・ヤオのガーブル回路をマルチパーティに拡張し、一定ラウンドで計算できることも示した。