アンドリュー・ヤオ
二人の富豪が、互いに資産を明かさずにどちらが豊かかを知るにはどうすればよいか、と問うた理論家。
姚期智(Andrew Chi-Chih Yao)はハーバードで物理学の博士号を取り、さらにコンピュータ科学でも博士号を取ったのち、計算量理論に腰を据えた。1979年に通信計算量という分野を創始し、1982年には「百万長者問題」を提起した。二者が互いの秘密の入力を見せ合うことなく、その関数を計算したい、という問題である。彼の答えがガーブル回路だ。ブール回路全体をゲート単位で暗号化し、途中の値をどれも露出させずに評価できるようにする。これが秘密計算(セキュアマルチパーティ計算)の号砲となり、1987年にゴールドライク、ミカリ、ウィグダーソンが一般化した。
2000年のチューリング賞は、擬似乱数の計算量理論への貢献などが評価されたものだ。2004年にはプリンストンを離れて北京の清華大学へ移り、そこで始めたエリート教育プログラム「姚班」は、中国のコンピュータ科学者のかなりの部分を輩出してきた。量子計算の回路理論にも貢献している。