クロスフィード
左右それぞれのチャンネルを、小さくして遅らせたうえで反対の耳にも混ぜるフィルター。ヘッドフォンをスピーカーに近い聞こえ方にする。
ステレオ音源はスピーカーで聴くことを前提に作られており、そこでは両耳が両方のスピーカーの音を聞く。ところがヘッドフォンでは左耳に左チャンネルしか届かず、片側に振り切られた楽器は頭の中という不自然な場所で鳴ってしまう。ドラムが片側、ボーカルがもう片側という1960年代のレコードでは、とくに顕著だ。この問題と簡単な解決回路は、1961年にBenjamin Bauerがすでに説明している。
クロスフィードは、頭が高音を遮ることを踏まえて各チャンネルにローパスフィルターをかけ、数分の1ミリ秒だけ遅らせて、反対側にごく小さく混ぜる。完全なHRTFの働きをごく大まかに真似たものにすぎないが、処理が軽く、音色のバランスもほとんど崩さない。bs2bライブラリのおかげで、数多くのソフトウェアプレーヤーに組み込まれている。