リングカウンタ
輪になった10個のフリップフロップのうち、点灯するのはいつも1つだけ。ENIACは2進数を経由せず、この仕組みで10進数のまま数えた。
リングカウンタとは、シフトレジスタを円環状につないだものだ。1つだけ立っている「1」がパルスのたびに1段ずつ回り、どのフリップフロップが点灯しているかで桁の値を読み取る。ENIACの20基のアキュムレータはそれぞれ10個の十進カウンタを持ち、各フリップフロップには真空管が2本使われた。1万7468本という総数の大きな部分と、150キロワットの消費電力はここから来ている。
これは素朴さゆえの選択ではなく、意図的な設計だった。途中経過をパネルのネオンランプでそのまま読めること、パンチカードとの間でデータを移すときに変換が要らないこと。その代償が真空管の数だ。2進カウンタなら10進1桁を4個のフリップフロップで保持できる。EDVACがまさにこの理由で2進へ移り、以後の計算機はそれに倣った。リングカウンタはワンホットカウンタとして今もデジタル設計に残り、デコード回路をなくす代わりにフリップフロップを払うという同じ取引が、4世代後にも続いている。