ノイズフロア
何も再生していないときにも残っているノイズ。これより小さい音は、単純に消えてしまう。
あらゆるオーディオ機器はヒスノイズを出す。抵抗器は室温で熱雑音を出し、アンプは自前のノイズを足し、テープには名物のヒスがあった。デジタル音声には量子化ノイズがあり、16ビットで約−96 dBFS、24ビットなら理論上約−144 dBFSと、現実のアナログ回路では到底届かない低さになる。このフロアからクリップまでの距離がダイナミックレンジである。
ノイズフロアは通常A特性で表記される。耳の感度が低い低音と超高音を割り引くので、仕様書の数字がよく見えるという副作用もある。ディザはフロアをわずかに押し上げるが、歪みと引き換えに滑らかなノイズを得られ、耳はこちらのほうがずっと寛容に受け入れる。さらにノイズシェイピングを使えば、そのノイズを聞こえにくい周波数へ追いやれる。