MONIAC
詳細情報
- 開発者
- ビル・フィリップス
- 発表
- 1949年
- 種別
- 水力式アナログコンピュータ
管とタンクと色水でできた計算機。通貨供給が文字どおり経済を流れ、税として漏れ出た。
ニュージーランド出身のビル・フィリップスは、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの学生だった1949年、クロイドンのガレージで、アクリルとポンプとバルブからなる高さ2メートルほどの装置を組み上げた。水は貨幣である。タンクは貯蓄、税収、投資、外貨準備を表し、バルブの開度は税率や消費性向、流れはケインズ・モデルの所得循環を表した。実行の様子はペンが紙に記録した。
MONIAC(Monetary National Income Analogue Computer)は、純粋な意味でのアナログ機械である。何も計算せず、系そのものが方程式だった。バルブを回せばすぐ結果が返り、紙の上の方程式では見えにくい振動やオーバーシュートも現れた。十数台が作られ、大学、自動車メーカー、いくつかの中央銀行に売られた。
予測の道具としては凡庸だったが、教材としては比類がなかった。学生は乗数効果を数式の項ではなく、上がっていく水位として見たからだ。数台が現存し、ケンブリッジの1台は今も動かせる。フィリップスが後世に名を残したのはフィリップス曲線のほうだが、教職を得させたのはこの水の機械だった。