顧客確認(KYC)
銀行や決済事業者が、顧客が誰で、資金がどこから来て、何のために使われるのかを把握する義務。
マネーロンダリング対策の実務面にあたる。国際的な基準は1989年からFATFが示し、EUは1991年から指令を出してきた。顧客管理には、本人確認、法人の背後にいる実質的支配者の特定、制裁リストとの照合、重要な公的地位にある者(PEP)のフラグ付け、そして口座の動きが顧客の申告どおりかどうかの継続的な確認が含まれる。日本では犯罪収益移転防止法がこれに当たる。
フィンテックにとって、KYCはしばしばプロダクトで最も費用のかかる部分だ。手順が一つ増えるごとに顧客が離脱し、一つ減らすごとに罰金のリスクが増える。NFCによるパスポートの読み取り、顔写真の照合、国のeIDなど、デジタル本人確認という産業まで生まれた。顧客の目に映るのは入力フォームだが、銀行にとっては規制当局との間に立つ唯一の防壁である。