ゴードン・ウェルチマン
Bombeを実用になるものにした追加部品の考案者。そのことを書いたために、40年後に機密取扱資格を剥奪された。
ゴードン・ウェルチマン(1906–1985)はケンブリッジの数学者で、1939年にブレッチリー・パークへ着任し、陸軍・空軍のEnigma通信を攻略するHut 6を立ち上げて率いた。Turingの最初のBombeは動いたものの、誤った停止が多すぎて、運用上はほぼ使い物にならなかった。Welchmanが加えたのが対角ボードである。Enigmaのプラグボードが相互的であること、つまりAがBにつながれていればBもAにつながれていることを利用した配線行列で、誤検出が激減し、Bombeは実験装置から生産用の道具になった。
彼は通信解析を体系化した最初の人物でもある。呼出符号や送信パターンから、メッセージ自体が解読できるかどうかにかかわらず敵の戦闘序列を読み取る手法だ。1982年に『The Hut Six Story』を出版すると、GCHQもNSAも反応した。Welchmanは当時76歳で、1950年代から米国の防衛エレクトロニクスに携わっていたが、機密取扱資格を剥奪され、自らの戦時中の仕事について語ることを禁じられた。