ワイドトレイル戦略
アクティブなS-boxの数に下限を証明することで、差分解読と線形解読を事実上不可能にするブロック暗号の設計手法。
この戦略はJoan Daemenが1995年の博士論文で示し、彼がVincent Rijmenと設計したRijndael、つまり後のAESの骨格となった。発想は、完璧なS-boxを追い求めることではなく、線形拡散層によって差分を次のラウンドのできるだけ多くのS-boxに行き渡らせることにある。
拡散層の分岐数によって証明可能な下限が得られ、AESでは任意の4ラウンドで少なくとも25個のS-boxがアクティブになる。これにより、差分特性も線形近似も実用にならないほど確率が低くなる。暗号が「願い」ではなく「論証」とともに現れた、珍しい例である。