プリエコー(Pre-echo)
圧縮音声で鋭い打撃音の直前に聞こえるかすかなノイズの滲みで、コーデックが量子化ノイズを時間的に前へ広げてしまうために起こる。
MP3やAACのような変換コーデックは、数千サンプルほどのブロック単位で処理する。量子化ノイズはブロック全体に均等に広がるため、無音のあとにカスタネットの音が来るブロックでは、ノイズの一部が打撃音より前に置かれる。大きな音の後ならノイズは数百ミリ秒までマスクされるが、前では数ミリ秒しかマスクされない。それより手前に漏れた分は聞こえてしまう。
コーデックは複数の方法で対処する。MP3とAACはトランジェントを検出すると短いブロックに切り替え、MP3は難しいフレームに追加のビットを貸すビットリザーバーを持ち、AACは時間ノイズシェーピングを加える。それでもカスタネット、チェンバロ、グロッケンシュピールは古典的な試験音源で、低ビットレートのエンコーダーはまずそこで馬脚を現す。