マルチトラック録音
楽器を別々の同期したトラックに録音し、あとから差し替えや追加、ミックスができるようにする手法。
マルチトラック以前、曲は一発で録られていた。バンド全員が同じマイクの前に立ち、一音間違えれば最初から録り直しである。決定的な工夫は1955年のAmpexによるものだった。Sel-Syncは、録音ヘッドを録音済みトラックの再生ヘッドとしても使えるようにし、演奏者が先に録った音を同期して聴きながら、新しいパートを重ねられるようにした。オーバーダビングである。Les Paulは1957年に最初期の8トラック機の一台を受け取り、それを楽器のように演奏した。
その後の進展は速かった。1967年の『サージェント・ペパーズ』は4トラックで作られたが、トラックをまとめて空きを作り続けることで成り立っていた。1970年代には16トラック、続いて24トラックがスタジオの標準となり、1992年にはADATが8トラックのデジタル録音を手頃な価格にした。今ではDAWが、誰も使い切る気にならないほどのトラック数を提供している。