ゲルツェル法(Goertzel algorithm)
信号の特定の周波数成分を1つだけ求める手法で、数個の音だけを調べたいときは完全なFFTより安上がりになる。
1958年にジェラルド・ゲルツェルが発表した。2次の再帰フィルターで離散フーリエ変換の1つのビンだけを評価する方式で、サンプルごとに乗算1回と加算2回を行い、最後のサンプルの後に短い仕上げの計算で振幅を得る。保持する状態は2つの数値だけである。
FFTはすべての周波数を一度に返すが、調べたいのが8つだけならゲルツェル法のほうが有利だ。これがまさにプッシュホンの問題で、DTMFの各桁は低群4・高群4の周波数から1つずつ選んだ組になっており、安価なDSP上の8本のゲルツェルフィルターでどのキーが押されたかを判別できる。同じ手法はギターチューナーや、特定の搬送波を待ち受けるモデムにも使われる。FFTと同様に、音がビンの中心に乗らないとスペクトル漏れが生じる。