FDN(フィードバック・ディレイ・ネットワーク)
複数のディレイラインの出力を行列で混ぜ合わせ、それぞれの入力へ戻す構造。現代のアルゴリズミックリバーブの骨格である。
1962年のシュレーダーのコムフィルターは、各フィルターが固有の周波数で鳴るため、残響が金属的に聞こえた。ライン同士を相互に結合してすべての反響を他へ広げるという発想は、1970年代のマイケル・ガーゾン、1982年のスタウトナーとパケットに現れたが、これを体系的な設計法にしたのは1991年のIRCAMのジャン=マルク・ジョとアントワーヌ・シェーヌである。
行列は無損失であるべきで、アダマール行列やハウスホルダー行列が典型だ。こうすればエネルギーが減衰するのは意図した場所、つまり各ラインの後ろの小さなローパスフィルターだけになり、高音が低音より早く消える。互いに素な長さのラインを8〜16本使えば、密で癖のない残響が得られる。それがまさに狙いだ。