エキスパートシステム
1980年代の AI。手書きの if-then ルールを何千も並べ、守備範囲の端に着くまでは見事に動いた。
エキスパートシステムは、ルールを集めた知識ベースと、それらを連鎖させる推論エンジンからなる。推論は事実から結論へ向かう前向きでも、仮説からそれを支える事実へ遡る後ろ向きでもよい。MYCIN は血液感染症の診断で多くの医師を上回り、XCON は DEC の VAX の受注構成を自動化して年間数千万ドルを節約した。
この方式は二つの問題で行き詰まった。一つは、知識を人間から聞き出して手で書き下ろす作業が、最後まで自動化できなかったこと。もう一つは、システムが自分の限界を知らないことだ。想定領域を一歩出ても、中にいるときと同じ自信で答える。ただし間違っている。1980年代末に市場が崩壊すると、AI の一時代がまるごと巻き込まれた。