ゼロクロッシング
波形の符号が変わり、ゼロを通過する点。ここで切れば、ポップノイズが出ないことが保証される唯一の場所である。
波形を山の頂点で切ると、レベルは1サンプルで大きな値から無音へ飛び、耳にはクリック音として聞こえる。もともとゼロを横切っている位置で切れば、その飛びはほとんどない。オーディオエディターに、選択範囲を最寄りのゼロクロッシングへ吸着させる設定があるのはそのためで、剃刀でテープを切っていた時代からの習慣である。ただしDCオフセットがあるとこの手は通用しない。波形が一度もゼロを横切らないことがあるからだ。
その頻度もそれだけで1つの指標になる。ゼロ交差率は音声解析で最も安価な特徴量の1つで、有声母音はあまり交差せず、摩擦音やノイズは絶えず交差する。音声と無音を見分ける初期の手段であり、FFTが重すぎる場面では、今でも大まかなピッチ推定に使われている。