TCP Vegas
パケット損失を待たず、遅延を測る方式を初めて採った輻輳制御。ほぼあらゆる点で優れていたが、そのせいで実用にならなかった。
1994年の着想は、キューが伸びればパケットが捨てられるずっと前にラウンドトリップ時間が増えて現れる、というものだ。Vegas は観測された最小 RTT から計算した「本来出るはずのスループット」と実測値を比べ、キューに溜まるパケット数が少しの一定量に保たれるようウィンドウを調整する。結果は低遅延、低損失、安定した速度だった。問題は、当時標準だった Reno と同じボトルネックを共有したときに表れた。Vegas はキューが伸びるとすぐ引くが、Reno は何かが壊れるまで押し続けるので、Vegas は自分で自分を飢えさせてしまう。行儀のよいアルゴリズムは行儀の悪いものに負ける、という教訓は、BBR があの形をしている理由に直結している。