スペクトル減算
古典的なノイズ除去手法。無音区間でノイズのスペクトルを測り、信号の全フレームからそれを引く。
Steven Bollが1979年に発表したもので、当初は雑音の多い回線を通る音声を想定していた。信号をSTFTで刻み、誰も話していない区間から、周波数ビンごとのノイズの平均レベルを推定する。その推定値を各フレームの振幅から引き、位相はそのままにして、オーバーラップアドで音声をつなぎ直す。
落とし穴は、ノイズが平均値ではないことだ。ビンや瞬間によっては結果が負になってゼロに丸められ、別の場所では小さなピークが残る。その結果、キラキラと揺れる残りかすが生じ、これはミュージカルノイズと呼ばれる。元のヒスノイズより耳障りだと言う人も多い。その後はウィーナーフィルターや機械学習が主流になったが、オーディオエディターの「ノイズプロファイルを学習」ボタンは、今も同じ発想である。