MFCC(メル周波数ケプストラム係数)
音声フレームごとの十数個の数値で音の大まかな形を表す。30年にわたり音声認識の主力だった。
手順は次のとおり。音声を約25msのフレームに切り、それぞれにFFTをかけ、メル尺度上に並べた三角形のフィルタでエネルギーを合計し、対数を取り、離散コサイン変換を適用する。残すのは最初の12〜13個の係数である。これらはスペクトルの輪郭、つまり母音を母音たらしめるフォルマントを捉え、音高は捨てる。バスが言ってもソプラノが言っても「あ」を「あ」と認識させたいなら、それがまさに望ましい。ケプストラムはspectrumの綴りを意図的に入れ替えた造語で、1963年のボゲルト、ヒーリー、テューキーに遡る。1980年にデイヴィスとメルメルスタインが、メル版が音声にもっとも適することを示した。
2010年代まで、ほぼすべての音声認識器がMFCCを隠れマルコフモデルに入力していた。深層ネットワークはDCTを省いた対数メルスペクトログラムを好むが、話者識別、音楽分類、そしてあらゆる音響解析の教科書にMFCCは残っている。