KL-7
NSAが1950年代に開発したローター式暗号機。冷戦の30年間、米国とNATOの通信の標準だった。
コードネームはADONISとPOLLUX。AFSAM-7として開発され、1952年ごろに実用化された。ローターは8枚(うち1枚は固定)で、ステップ動作はEnigmaのような予測しやすい歯車ではなく電気的に制御された。大使館にも艦船にも置かれ、NATOの同盟国とも共有された。
暗号学的に破られたことはなく、その必要もなかった。1968年にUSSプエブロを拿捕した北朝鮮は同系統の機械を手に入れ、スパイのJohn Walkerは20年近くにわたって鍵リストをソ連に売り続けた。機械と鍵の両方が揃えば、通信は筒抜けである。KL-7は1983年に退役した。敵は機械を手に入れるものであり、秘密にしてよいのは鍵だけ、というケルクホフスの原理を見事に示す事例だ。