ヨハネス・トリテミウス
暗号に関する最初の印刷本を著し、「ステガノグラフィ」という語を作ったドイツの修道院長(1462–1516)。
スポンハイムの修道院長だったトリテミウスは、ヨーロッパ屈指の修道院図書館を築き、歴史から魔術まで幅広く著した。死後の1518年に刊行された『ポリグラフィア』は、多表式暗号を機械的に扱えるようにしたタブラ・レクタを導入し、各文字を単語に置き換える「アヴェ・マリア暗号」も載せた。秘密の文は敬虔な祈りの文句にしか見えない。
1499年ごろの『ステガノグラフィア』は波乱の道をたどった。天使の助けで通信する書に見え、写本で1世紀ほど出回り、1606年に印刷され、1609年に禁書目録に載った。第3巻が実は暗号の書で、「魔術的な」数字が暗号文だったと2人の研究者が独立に示したのは1998年である。オカルトは偽装だったわけだ。