ヒル暗号
文字のブロックを法26の行列積で暗号化する方式。代数的には美しいが、まさにそのせいで、平文を少し手に入れた相手には筒抜けになる。
数学者レスター・S・ヒルが1929年に発表した。文字を0〜25の数に対応させ、平文をn文字ごとのブロックに区切り、鍵となる可逆なn×n行列を各ブロックに掛ける。復号には逆行列を使う。3文字を超える文字数をひとまとまりとして扱った、最初の実用的な暗号である。
問題は、すべてが線形であることだ。平文と暗号文のブロックの組がn個あれば、鍵は連立方程式を解くだけで求まる。ヒルは6文字ブロック用の機械式装置まで作ったが、実際にはほとんど使われなかった。ブロック全体を行列で混ぜるという発想はAESのMixColumnsに受け継がれているが、そちらは非線形のSボックスの後ろに置かれている。