ダブルステッピング
エニグマの癖で、中央のローターが続けて二度進むことがあり、ローター位置が見かけほどランダムではなくなる。
各ローターには、そこを通過すると次のローターを一つ進める切り欠きがあった。中央のローターは左ローターに対する自前の爪も持っており、右ローターの切り欠きで中央が進められた直後は、次のキー押下で再び進むことがあった。連続する二回の前進は設計者が想定した規則性を崩し、異なるローター位置の数は26³を下回った。
この欠陥は利用できた。ブレッチリー・パークの暗号解読者はローターの挙動を手法に織り込む必要があり、ダブルステッピングはエニグマが製作者の信じたほど強くなかった理由の一つである。暗号機の機械的な細部が、鍵空間の大きさより重要になりうることを示す好例だ。