アプリコット・コンピュータズ
MS-DOSを載せながらIBM互換を拒んだ英国のPCメーカー。誰もが互換機に折れた理由を身をもって示した。
ブランドの裏にいたのはバーミンガムのACT社で、ソフトウェア販売やVictor 9000の輸入を経て自社設計に乗り出した。1983年のApricot PCは、世間がまだ5.25インチを使っていた時代にソニーの3.5インチ・フロッピーを採用し、1984年のApricot Portableは液晶画面と初期の音声操作まで備えていた。
ただしMS-DOSは動くものの独自アーキテクチャだったため、IBM PCのハードウェアを直接叩くソフトは動かなかった。市場が「PC=IBM互換機」と決めると方針転換したが、先行の利はすでに失われていた。1990年に三菱が買収し、1999年に事業を終了した。SinclairやAcornと並び、コンピュータ産業の中心が二つだけではなかった時代を思い出させる英国の名前である。