アンドレアス・ヒュルシング
ハッシュベース署名を実用の域に引き上げたドイツの暗号研究者。最初はXMSS、続いてSPHINCS+を手がけ、後者は2024年に米国標準SLH-DSAとなった。
ハッシュベース署名の起源は1970年代のランポートとマークルに遡る。安全性がハッシュ関数の強度だけに依存し、数論的な仮定を一切必要としないのが特徴だ。ただし難点は状態管理だった。同じワンタイム鍵で二度署名すれば終わりなので、署名者は使った鍵をすべて覚えておかなければならない。
ヒュルシングはダルムシュタットでヨハネス・ブッフマンの下で博士号を取得し、XMSS(2011年、RFC 8391として標準化)の共同開発に加わった。その後SPHINCS(2015年)とSPHINCS+の主要な著者の一人となり、署名が大きくなる代わりに状態管理を不要にした。NISTは2024年8月にSPHINCS+をFIPS 205(SLH-DSA)として公表している。格子ベースのML-DSAが破られた場合の保険という位置づけだ。現在はアイントホーフェン工科大学に所属する。