音響暗号解析
コンピューターが計算中に出す音から鍵を復元する、サイドチャネル攻撃。
コンピューター内の部品、とくに電源のコイルは、プロセッサが行う演算に応じて変化する音を発する。近くに置いたマイクでその変化を拾い、適切に解析すれば、RSA計算から鍵のビットを導き出せる。
2014年にGenkin、Shamir、Tromerが、ノートPCの音からRSA鍵を取り出せることを示した。攻撃には、被害者が攻撃者の選んだ暗号文(たとえば暗号化メール経由)を復号することと、数メートル以内にマイクがあることが必要だった。遅く、1回の試行で漏れる情報もわずかだった。それでも不気味な事実は残る。数学的に正しいアルゴリズムでも、ハードウェアの物理を通じて漏れてしまうのだ。
対策はサイドチャネルの世界でおなじみのもので、定数時間実装と計算のブラインディングである。マシンを静かにすることも可能だが費用がかさむため、実際には「誰も聞いていないはず」と期待するのではなく、実装側で防御する。