JackTrip
非圧縮のマルチチャンネル音声を、離れた場所の演奏者が一緒に演奏できるほどの低遅延でインターネット越しに送る、スタンフォード大学発のソフトウェアである。
JackTripは2007〜2008年頃にスタンフォード大学のCCRMAで生まれ、主な開発者はクリス・シェイフとフアン=パブロ・カセレスである。発想は圧縮を一切省くことだ。生のPCMをそのままUDPパケットに載せる。コーデックは遅延を増やすし、遅れて届くパケットよりも落ちたパケットのほうがましだからである。もともとJACKの上に作られたため、この名前が付いた。
限界を決めるのは物理である。光ファイバー中の光は1ミリ秒あたりおよそ200 km進み、演奏者がアンサンブルの重さを感じ始めずに耐えられるレイテンシは25 ms前後とされる。都市や一国の内なら足りるが、大陸をまたぐには足りない。2020年春にはパンデミックにより、JackTripは研究用ツールから合唱団やバンドの命綱へと変わった。